第6回福島県訪問リハビリテーション研修会(9/5・6) に参加して

(文:竹田綜合病院 言語聴覚士 斎藤貴美子・村松美紀)

 

平成27年9月5・6日(土・日)、総合南東北病院にて、第6回福島県訪問リハビリテーション研修会が開催され、参加させて頂きました。

1日目は3つの講演がありました。まず、福島県保健福祉部高齢福祉課の比佐野加奈子氏から「地域包括ケアシステムの理解」について、地域包括ケアシステムの概要、県内の事例紹介があり、リハビリテーション専門職は地域との連携を期待されていることを改めて感じました。次に、大阪府大東市保健医療部高齢福祉課のPT逢坂伸子先生から、「地域包括ケアシステムにおけるリハビリテーション専門職の役割~行政の理学療法士の視点から~」と題して、大東市の現況とPTとしての参画状況について、具体的にご講演頂き、リハビリテーション専門職の役割としてどんな働きかけができるのか、医療の視点だけではない生活に密着した視点の必要性を考える機会となりました。

続いて、当会会員でもある浜通り訪問リハビリステーションの熊谷大先生の「ST資源の少ない地域における活動の工夫」では、先生が勤務されてから現在までにやってこられた様々なST啓発・障害理解のための活動(通信発行、勉強会の開催、利用者・家族への説明の工夫など)、実際に連携していく上での工夫について聞くことが出来ました。訪問STはまだ少なく、これまでイメージの湧きにくい部分も多かったですが、事例だけでなく、これまでのご経験を生かした連携の工夫についても詳細にご講演頂き、STが地域の中でできることが沢山あるということを実感させられました。

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2日目は午前に講演が2つ、午後はグループワークがありました。介護老人保健施設涼風苑のOT・介護支援員の浅野有子先生からは、「生活行為の向上に役立つ訪問リハビリテーション」についてご説明いただきました。介護老人保健施設ひもろぎの園OT石井利幸先生からは、「在宅生活の支援におけるリハビリテーション専門職の役割」についてお話がありました。アセスメントには、本人の心身機能と生活行為のやり方・難易度のバランスが必要で、うまくバランスを取ることが大切とのことでした。生活行為のどの段階まではできるのか等、細かく評価を行っていくことが必要だと感じさせられました。

午後は、グループで症例についてディスカッションを行いました。ご本人や、その人の取り巻く環境もきちんと把握した上できちんと目標を決めアプローチを考えることの大切さを実感しました。

(活動報告)”平成27年度地域づくりによる介護予防推進研修会”へ参加しました。

日時 平成27831日(日)100012:40
場所 郡山市中央公民館 多目的ホール
 
<内容>
介護予防は、高齢者が要介護状態などとなることの予防または要介護状態などの軽減、もしくは悪化の防止を目的として行うもので、生活機能の低下した高齢者に対しては、リハビリテーションの理念を踏まえて、『心身機能』『活動』『参加』のそれぞれの要素にバランス良く働きかけることが重要となります。これまでの介護予防の手法が、『心身機能』改善を目指す機能回復訓練に偏りがちでしたが、これからの介護予防においては、日常生活の『活動』を高め、家庭や社会への『参加』を促すことに目を向け、住民運営の通いの場を充実させて、人と人とのつながりを通じて、参加者や通いの場が継続的に拡大していくような『地域づくり』を推進する必要があります。そのため、今回の研修会では、先駆的に住民主体の介護予防活動に取り組んでいる自治体職員から講義、実践報告をいただき、従来の二次予防事業を主体とした手法から、「地域づくりによる介護予防」への方針転換が図れるように支援する目的で開催されました。
参加者数は267名(リハビリ専門職59名、内ST6名)で、高知市保健所長の堀川様と福島県医科大学の早川様からの御講話と、福島県内で平成26年度より介護予防モデル事業に参加されている地域からの実践報告がありました。内容としては、高齢化率と介護負担額の推移、虚弱高齢者に対する筋力トレーニングの必要性と頻度や負荷量、介護予防事業の目的と効果、地域展開と支援の具体的方法などで、特に住民主体に継続するための関わりは重要な視点であることを知ることが出来ました。